どうやら私は、眼に見えない何らかの形を表現しようとする意識が自分の中に働くらしい。
絵を描き始めた頃は、自身の内面世界を知らず知らずのうちに表現していた。内面世界だけを見ているとどんどん深みにはまり表現自体も袋小路に陥りやすい。また何よりも息苦しい。小さな自分の薄暗い内部より外を覗けば、光や音、香り、自然の何気ない表情が時には心地よく、時には脅威さえをも五感に与える。
私はやっと外側を見だしているようだ。それゆえに人間や社会、世界、と云った問題に辿り着くことは、まだまだ遠い道の先に思えるのだ。
小さな虫が自分の飛び行く先の風を掴もうとするかのように。