言葉はすごく変わっていくので、「拙者」とか「おぬし」とか今は誰も言わないし、例えば前は「アベック」と言っていたのが「カップル」とか。「チョベリバ」とかも、もう誰も言わない。言葉はすぐ古くなるので、できるだけ普遍的なというのは意識しています。発表した瞬間に古くなるから、時事ネタはやめようと決めました。どんな大きな事件事故、ムーブメントがあっても時事ネタはしないですね。
恋みくじを作ってもう19年目なんですけど、最近
GoogleのCMに起用されたことでさらに注目が集まりました。大阪の松原市にある
布忍神社にはたくさんの人が来てくださっています。お正月に大阪の報道の記者の人が、布忍神社で恋みくじを引く様子を追っかけてくれて、「19年も前から」って19年をものすごく強調するんですよ(苦笑)。流行りモノって本当にすぐ廃れていくのに、どうして19年も(耐久性があるんだ)っていう。
恋みくじにした作品の2つを変更したんです。「恋をしそんじる。」っていうのがあるのですが、若い人が“しそんじる”って何ですか?しそ? えっ?って。“恋をしそんじる。”って分からへんのや~と思って(苦笑)。あともう一つ、「好かれたいと思っていたが、そうは、問屋がおろさない。」っていう作品があるんですけど、“問屋”って何ですか?って、そもそも“とんや(といや)”と 読めないんですよ。
え~マジかと。“そうは、問屋がおろさへん”とか誰も言わないと(苦笑)。ですからその2つは変更しました、3年くらい前に。出来るだけ普遍的な流行り廃りのない言葉を使おうって思っていてもこういうことがおこりますから。しょうがないですよね。
美大や芸大に講演をしに行く時も、作品集を持って行くのですが、1冊目は 18、19歳の彼らの生まれる前の発売だから、「こんな前に発売されてるの!?」って言われてしまう。個人の趣味が多種多様になってきたら、色んな考えや思考があるけど、でも「初めてチューする時って鼻をどうするんだろう...」って考えるでしょう?(笑)「鼻のほうが先にあたるよね…」とかが、ちょっとチラつく 。何か、鼻の奥がツーンとしたような、 胸がギューっとするようなことって、昔も今もそう変わらへんのんちゃうん?と思うし。
かといって全員が全員に届くような、最大公約数が欲しいわけではなくて。例えば視聴率40%が欲しいんじゃなくて、全く。水曜日とか木曜日とかのド平日の25時40分からの5分番組なんだけど、視聴率なんて0.02%しかないんだけどその 0.02%の人が100%熱狂してたらいいなと思うんですよ。万人に届けとは思わないし、思いづらいし。そもそも届くか?って思うし。遠いぞ、他人までって!(笑)