Linking Spirits Linking Arts

July 20 – September 21, 2002

 

山本圭吾
サイコロ楽器

 

山本圭吾
会場風景
山本圭吾
会場風景

山本圭吾

リンクする精神・リンクする芸術

2002年7月20日–9月21日

 

展覧会概要

1960年代後半、数々のキネティック・アートを発表し、1970年代初めには既にネットワーク芸術に取り組んでいた山本圭吾。彼は、パォーマンス、ビデオ・アート、ビデオ・ゲーム、写真、そしてISDN使用のネットワーク・アートなどを次々と発表し、我が国のメディア・アートに、40数年に及ぶ確かな足跡を残してきました。

また、1989年からは、遠隔地にいる人とパソコン通信やインターネットによって互いの絵をリンクする、連歌ならぬ「連画」に世界で最も早く取り組み、開拓してきました。

今回の展覧会は、彼の約10年ぶりの個展であり、展示作品は、すべて観客参加型となっております。

2つのサイコロ状の正六面体を置き、その上で描くそれぞれの絵を天井に設置されているビデオカメラで撮り、その合成された画像を見ながら作品を制作していく「サイコロ楽器」。2枚の障子でできたスクリーンに、人物のかたちが浮かび上がる「対話する影」。障子の桟にはセンサーを仕込み、「触れる強弱」や,「呼吸」や「間」が音に変換されます。当展覧会では、これらを含んだネットワーク・サウンド・インスタレーション5点を展示。さらに、伊藤英高氏とのコラボレーションによる「連画」作品約20点を展示しております。

当画廊が、長年注目してきた、日本の映像作家のパイオニア・山本圭吾の個展を鎌倉山の広々とした空間でお楽しみ下さい。

 

作家コメント

20世紀は、耳の拡張としてのオーデイオ、目の拡張としてのビデオ、頭脳の拡張としてのコンピュータが誕生した。これらは「人間の頭部の拡張」である。それらが、人間の手足までの「神経系にも拡張」した。さらにインターネットに代表されるように、「人間と人間の間(社会)にも拡張」し、単体的であったコミュニケーション・メディアがリンクし、融合化して新しい「ネットワーク社会」を誕生させ、政治、経済、教育、文化など、さまざまな分野に大変革が起きている。

これらはメディアの特性からの視点だが、リンクの精神や思考法も生まれ、芸術の分野にも発展して、新しい芸術の花が開くと考えている。そこで私たちは、このネットワークの双方向性、共有性、融合性、変換性、パーソナル性、同時性などの特性を活用し、時代精神を反映した『ネットワーク芸術』の開拓をめざしている。

私は、すでに幾つかのネットワーク芸術の新分野を開発してきたが、その開発で特に感じていることは、21世紀の芸術のリンク形態が、「数珠」のようなヨコ型に変わってきたことである。特に、東西の文明がそれぞれ違った特質をもちながら、対等な関係になり、あらたな「リンクの思想」が成長してきている。情報ネットワークの『出会いからリンクへ』のプロセスにおいて、その根源的な本質と深く関わっており、アイデンティティーが非常に重要になる。文明はシルクロードによって双方向に交流し、多大な恩恵を受けたが、21世紀は情報ネットワークによって、多方向に新しい文化や文明を生むのである。新しい芸術もまた。

 

山本圭吾
対話する影

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