Rika Syounen no Yume

May 27 – July 9, 2017

We are closed on Monday, Tuesday and National Holiday
Opening Party: May 27, 16:00-18:00

Koeda Shigeaki (1953–) has been working on the artworks that combined painting and photograph since 1980’s. In 2003, he was inspired by Ito Jakuchu’s “Hanamaruzu” and started one of his main projects titled “Flowers - Between the eyes.” He has been trying to create 100 Lambda prints using 100 flowers in a his specific way and almost 90 works were completed. The way of creating this series is: setting a glass plate in front of a fresh flower, drawing on the glass plate by water colors, then taking a photograph of whole things with lighting, and finally that digital data is printed as Lambda prints. It is a sequence of sensitive process.

The exhibition title, “Rika Syounen no Yume” that means a dream of a boy who likes science, is derived from Koeda’s boyhood memory. He used to like science and was very impressed to words of Yukawa Hideki, a physicist, “the man who seeks unknown world is a traveler with no map.” Nowadays, he feels a fuzzy feeling of distance between himself and flowers when he makes his works and he thinks that feeling is similar to the distance of his childhood dream in some way. For this exhibition, he has created latest 10 large Lambda prints, acrylic paintings and small works.

小枝繁昭
小枝繁昭「空の時 白玉蓮」2015 ラムダプリント 100 x 100 cm

小枝繁昭

- Rika Syounen no Yume -

2017年5月27日–7月9日

休廊: 月曜・火曜・祝日
オープニングパーティー 5月27日(土)16:00–18:00

- Rika Syounen no Yume -

私は理科少年だった。その頃に読んだのだろうか。「未知の世界を探求する人々は、地図を持たない旅人である。地図は探求の結果として、できるのである。」という湯川秀樹博士の自伝の一節が今も心に残っている。科学者の眼差しとは少し違うが、絵描きもやはり“何か”を探求したいという想いは同じだ。“何か”を追いかけているあいだに、いつの間にか時は過ぎてゆく。

花と向き合いはじめて15年目を迎える。思えばこの旅もずいぶん長くなった。初めは遠く、そして少しずつ身近に感じてきた花たちだが、近頃その距離感がとても曖昧になってきた。距離が縮まったのではなく、やはり曖昧という言葉がしっくりと馴染む。これは花と向き合っている時ばかりではない。日々の暮しでもいろいろなことが少しずつ曖昧になってきた。今は、できるだけ大らかな心でその感覚を受け止め、描いていければいいなあと思っている。あの少年の頃に見た夢のように、、、、。

小枝繁昭

展覧会概要

私たちが暮らしの中で知っている花も、ほとんどなじみのない珍しい花も、小枝繁昭の手法にかかると驚くような別の顔、新たな一面を見せてくれます。見る側の人間が小さくなったように感じるほどクローズアップされた花たちが小枝の生み出す色彩と共演し、また競演する様は斬新で意外な展開の舞台を眺めているかのようです。ペインティングと写真を融合させた独自の手法による「花-眼差しのあいだ-」というこのシリーズは、かの伊藤若冲の「花丸図」に魅了された作家が、2003年に開始し計100作品(100華)の制作に向けて継続中のプロジェクトです。一見すると引き延ばした花の写真の上にダイナミックに絵の具をのせているように思われがちですが、実際は繊細な作業の連続です。

生花を前にし自分との間にガラス板を置き、そこへ花の色やかたち、大きさと呼応しながら水彩絵の具で描きこみます。その両者を照明のもと一度に撮影し、デジタルデータとして緻密な加工をしたのちに大型写真(ラムダプリント)として仕上げていきます。生花もガラス上のペイントも残らないため、花と作家の手業がぴたりと響きあったその瞬間だけが永遠の像として封じ込められた作品なのです。シリーズを始めて15年の歳月の中で途切れることなく続いてきた花との時間は、時に軽やかなダンスを踊るように、時に密やかな逢瀬のように重ねられ、今展への新作で90作目前まで達し、いよいよ円熟期に入ったところといえます。

会場にはシリーズ最新作10数点のほか、小動物を描いたアクリル画、素焼に岩絵具を用いた花や子犬をかたどったオブジェなど約30点を展示致します。今回で4回目となる鎌倉画廊での個展タイトルは「Rika Syounen no Yume」。湯川博士の言葉に触発されたかつての理科少年は、「地図を持たない旅」を続けて後に作家となり、今また、少年の頃の夢のふんわりとした曖昧さに似た、花や生き物たちとのもどかしくも心地よい距離感を感じています。見果てぬ夢のように遠く、すぐ隣にあるように近い、、、思い通りにはならず曖昧だからこそ愛おしい数々のもの――その中で生まれた作品たちです。鑑賞者それぞれの曖昧だけれど愛しいもの、そんなことも思い浮かべながら、ふんわりとした心で花に囲まれ眺めて頂きたい展覧会です。ぜひご高覧ください。

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