小川
待子 「結晶と記憶」 2013.3.16(日)-5.2(木) |
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小川待子(1946?)は東京藝術大学工芸科を卒業後、パリ工芸学校を経て、その後3年半ほど 人類学者の夫の調査地である西アフリカ、ブルキナファソを中心に、周辺の国々で現地の焼き もの作りを学びました。電気も水道もない生活のなかで直接大地と触れあって過ごした時間は、 その後の作品制作に大きな影響を与えたと言えます。国内では神奈川県立近代美術館(2002) や豊田市美術館(2011)などで作品を発表し、継続的に活躍している作家です。整ったかたち の美しさではなく、「ひび」や「割れ」により陶の創造性を大胆に提示した作家は、激しく割れた 口縁部や亀裂をさらけ出し、その中に静かな透明感のあるブルーの釉薬を湛える作品、細長く 尖った無数の発掘された土器のような形状に澄んだブルーの釉薬を満たしたものなど、一見し て小川作品とわかる独特の作風を築き上げてきました。うつわの内側と外側とが、また生命力 すら感じるそのかたちが、観る者の心を惹きつけます。今展では、大小あわせて約40点の新作 を展示いたします。作家はかつて、「問題に突き当たると物質が答えを出してくれる」と語ってい ます。幾度となく繰り返される「物質との対話」の中で作家の意図を超えたものに出会いたいと いう思いが結晶化する。その過程で生まれるのは原始からつながる土の記憶、私たちの中に ある根源的な記憶なのではないでしょうか。作家が今日見出した「かたち」を前に、遠い記憶に 思いを馳せる??。期待の新作個展をぜひご高覧下さい。 作家略歴 会場風景
若手作家も含む国内・海外作家の作品を展示いたします。 |