吉田克朗
Rediscovered "Cut-off 18" 1970 + Photos

2011.3.5(土)-5.1(日)

   

吉田克朗(1943-1999)は多摩美術大学で斉藤義重教室に学び、1960年代末から70年代初頭に
かけて未加工の工業素材や自然物を用いた作品を発表。この活動はのちに「もの派」として李禹煥
や菅木志雄、榎倉康二らの作品とともに知られることとなりました。1968年に既製品の机を真ん中
で二つに切り離した「Cut 1」(現代日本美術展・コンクール入選)を発表後、1969年より、紙と石、
鉄管と綿、角材と石とロープ、角材と鉄板や電球などを組み合わせた「Cut-off(“切り離す”などの
意)」と題したシリーズを手がけ、「現実のままでありながら、日常性を越えたものを見せ伝える」と
いう当時の作家の言葉からもうかがえるように“物”をそれに対する既成概念や日常的な視点から
切り離した表現世界を提示しました。これら当時の作品の多くは失われ、後に再制作されたものも
ありますが、鉄板とボルトを用いた1970年制作の「Cut-off 18」のオリジナル作品(但しボルトを除く)
が、40年という時間を経て先ごろ作家自宅で発見されました。今展のタイトルでもある貴重な発見を
得て、このたび同作品を展覧会の中心に据え展示致します。その周囲には、「Cut-off 18」を含む
「Cut-off」シリーズほか1968?71年の作品写真約20点を展示し、作家が立体造形に取り組んだ
わずかな期間で精力的に制作した、いわゆる「もの派」ととらえられた作品群を写真で辿ります。
また、自らの芸術表現を探り続けるために、当時、並行して作家が取り組んだのが版画作品です。
1970年以降、国内外の国際版画展で数多くの作品を発表してきました。今展では、立体作品の
構想のエスキースとして制作した初めての版画作品「Cut-off Plan」2点をはじめ、1969?71年の
シルクスクリーン作品計9点を展示。当時の吉田の仕事を包括的にご覧頂ける構成と致します。
作家は惜しくも1999年に55歳の若さで亡くなりましたが、その足跡は現代においても影響を与え
続け、「もの派」の作品は世界的にも再注目され評価が高まっています。制作から実に40年を経
ての展示となる「Cut-off 18」を軸に、作品写真、版画作品を合わせて吉田の1970年前後の活動
を再認識する貴重な機会となることと存じます。ぜひご高覧下さい。


作家経歴

会場風景
 
 "Cut-off 18" 1970                                    (C)ANZAI
 
 
 

*****2F展示室にて常設展同時開催*****

若手作家も含む国内・海外作家の作品を展示いたします。


       

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