- ten shi huu hitsuによせて ー

 “ふわー”とした、
ゆったりとした気持ちで作品を見て下さい。
花がそこにあるように…….。
そうすればきっといい感じになります。
 私の仕事は、花の持つ存在感に、
ほんの少しだけの“何か”を付け加えることです。ほんの少しです…….。
すると花と私との間になんだか
“ふわー”
としたものが広がります。

言葉にするのはとても難しいのですが、そんな“ふわー”とした感じが、私の作品を見て
いただく方の心にも広がればいいなと思っています。
“ 天 紙 風 筆 ” できれば、天空に描く風のように、大らかな気持ちで……。

小枝繁昭

展覧会概要

小枝繁昭は1980年代より、ペインティグと写真を融合させた作品を作り続けて来ました。
その作風は写真としでだけではなく、現代美術としても高い評価を得ています。

「ten shi fuu hitsu」は、歌人としても誉れ高かった大津皇子の詩から引用されています。

天紙風筆雲鶴を畫き、山機霜杼(さうちょ)葉錦を織らむ。

天のように広い紙の上に風のように自由に筆をとばして雲間にかける鶴を描き、
また山が機となり霜が杼となって紅葉という錦を織るように、立派な詩文を作りたい
という、詩の意図のとおり、小さな事に捉われずにおおらかに描きたいと
作家は言います。
「何かを見ること」、「何かが在ること」でもなく、それぞれに何かが委ねあったときに
広がることを大切にしたい-。
小枝繁昭の、花との出会いを感じていただけますと幸いです。

今回は、2003年から取り組んでいる”花ー眼差しのあいだ”シリーズの最新作「叙の時」
を中心に発表予定です。出品作品は20?30点になる予定。
展覧会と同時に販売する作品集には、小さな塑造作品も掲載の予定でおります。

   
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