Fusion of Sumi and Washi

Solo Exhibition

November 1st – December 21st, 2014

Closed on Monday, Tuesday and National holidays (11/3, 23, 24)
Opening Party: November 1st, 16:00-18:00

Peace 2012
Peace 2012

 

Fujiwara Shiho was born in Nishinomiya city, Hyogo in 1944. She started to draw the ink painting in her childhood and was enrolled in painting school, trained in there fundamental study of Sumi (Chinese ink / Japanese ink) and Washi (Japanese Paper). She traveled a lot of places in Japan and continued drawing her works with a motif of trees and woods in 1970’s.

When she visited Akiyoshi-dai in Yamaguchi prefecture, there was affected by typhoon and she saw the impressive sight that the clouds dipped as low as the horizon. At that moment, she realized that what she wanted to express through her works. Since then she started to make abstract representation with Sumi and Washi and has been pursuing a new style of works as contemporary art included installation and three-dimensional works.

Kamakura Gallery held her solo exhibition three times in Ginza, Tokyo from 1986 to 1990. Recently her solo exhibitions were held in Australia, France, United States and other countries. In this exhibition, 20 works included her latest works and one of typical large works that is strung from the ceiling will be on display. We’ll have a little party with the artist on Saturday, November 1st, 4-6 PM.

藤原志保

墨と和紙の融合

2014年11月1日–12月21日

休廊:月曜・火曜・祝日(11/3, 23, 24)
オープニングパーティー 11月1日(土) 16:00-18:00

鎌倉画廊 個展「墨と和紙の融合」 に寄せて

墨と和紙にどっぷり浸かっている今、生あることに感謝している。生後、半年、兵庫県西宮市、甲子園球場の近くで、第2次世界大戦空襲の火の海の中、母の背に負われて防空壕にのがれ生き延びた。また、20年前の阪神淡路大震災でアトリエ、勤務先が全壊、住居も壊れ、間一髪で救われた。命があればなんとかなる。人生の苦難は芸術家の肥やし。修行であり、精進の糧。いかに生きるか、それが作品に顕れる。

小学1年生より墨と和紙を手にし、書、そして26歳から水墨画へ。30歳のころ山口県秋吉台に旅した時、台風に出会った。180度広がる大地すれすれに垂れこめる暗雲を眼にした時、私の描きたいのは、表現したいのはこれだ・・・と、神戸のアトリエに帰り筆を持った。勢い余って画仙紙が破れた。この破れは墨と和紙の間で生じる現象だと思った。それからいろいろ実験を重ね、墨と和紙の間で生じる表現の可能性を求めて、抽象、立体、空間造形、インスタレーション作品へと自然に変遷していった。近年、フランス、オーストラリア、ニューヨークなどで日本古来の素材、墨と和紙を用いた現代美術の個展を開催し、手応えを感じた。

鎌倉画廊が銀座のころ、1986 1988 1990と、3回企画個展を開催していただき、今回は4回目、約25年ぶりの開催となる。新しい、鎌倉山の鎌倉画廊空間にチャレンジする。シンプルになってきた墨と和紙の作品を多くの方にご覧いただき、琴線に触れることができれば幸いである。

藤原志保

展覧会概要

藤原志保(1944–)は、墨と和紙という古来より用いられてきた素材で現代美術としての新たな造形を模索し続けている作家です。鎌倉画廊では1986年-90年にかけての3回の個展開催より25年ぶりの個展となります。

80年代はじめより継続的に作品を発表し、近年ではオーストラリアやフランス、ニューヨークでの個展など発表の場を広げています。作家は、日本画家であった祖父から絵画の手ほどきを受け、また水墨画の繊細で幅広い表現にも同時に興味を抱き、少女時代から研鑽を始めました。主に書や水墨画を描いていた頃にモチーフを求めて国内各地の土地を訪ねては描いてきましたが、山口県の秋吉台を訪れた際に台風に遭遇し、大自然が創り出す圧倒的な光景を前に、作家は自らの表現すべきもの、創り出していくものを発見したと回想します。当時、「人間は美しいことだけでなく、何かどろどろとした中に真実があるのではないか」と感じていた藤原にとって、作品を通してその真実を求め、表現していく姿勢を決定づけた出来事だったのではないでしょうか。

藤原の作品は、和紙を折りたたみ、墨液に浸けて取り上げ、乾燥させて広げた後さらに筆を加えるなどして作られ、和紙に染み渡った墨が緊張感を漂わせながら和紙の持つ重量感、物質感とあいまって、ひとつの作品の内にさまざまな表情をみせます。それはあたかもひとつの宇宙のように無限の空間と時間を感じさせます。天井から吊り下げられる3メートル超の作品や円筒状に形作られたもの、床面に岩石のごとく広げられたものなど、平面から立体へ、空間全体を大胆に使ったインスタレーションへと独自の世界を展開させてきました。

作品ごとに、日本墨や中国墨、越前和紙、土佐楮和紙、本美濃和紙などを使い分けていますが、とりわけ特厚の土佐楮和紙を用いた、天井より吊り下げる大作は重厚さと深みのある光沢をたたえ、今展のタイトルにもあるように墨と和紙が融合し、ひとつのものとして迫力を持って眼前に現れる藤原作品の象徴といえます。今展では、この象徴的な大作を中心に、額に納めた作品など最新作を含め約20点を展示いたします。画業40年を超えてますます表現の広がりを見せる藤原の作品は、私たちの歴史の身近にありながらどこまでも未知の領域を持つ墨と和紙の魅力を改めて示してくれることと思います。是非ご高覧下さい。

Top »