原美術館で、ハラハラしながらsolo showをしたのはもう7年前のことだった。
そのあとニューヨークのウイットニイミュージアム、ヴェニスのビエンナーレ、アムステルダムのステディリックミュージアムと幾度か大きいshowをしたが、今回の銀座の鎌倉画廊からの招待はとても嬉しい。

 学生時代よく銀ブラしたり、ジャズカッフェに入って青春を過ごした昔を懐かしく思い出す。銀座の鎌倉画廊には富山県立近代美術館の前館長の小川先生に連れていってもらったのを覚えている。まさか私が鎌倉画廊で個展が出来るなんて夢にも思わなかった。

 ニューヨークのソーホーのロフトで有料テレビ、ケーブルテレビで大相撲の実況中継を見ながら私の中にある日本が蘇る。

 私の代表作である「階段をおりる裸の女」、「アダムとイヴ」は、亡きマルセル.デュシャン研修学のシリーズの連作である。新作「Sexual Healing」は1996年のEaster(復活祭)の日に脳梗塞で倒れた夫、ナム ジュン パイクのドキュメンタリーである。

 Easterの日にキリストが復活したようにナムジュン.パイクも「Easter-Baby」となった。生まれ変わったのである。病人の再生(ルネッサンス)は、マグネテックの男女の引力であり、生命力となり、芸術の力である。ニューヨーク大学病院ラスクインスティチュートで可愛らしいセラピスト嬢達にかこまれて、彼女達の愛の鞭、天使達のBody Communication, Body Languageで動かなった左足が歩けるようになり、体のバランスが再生した。日常の生活が芸術となり、芸術が又、日常の生活となる。


                         1998, 1, 19
                         久保田 成子


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