Solo Exhibition
June 4th – August 7th, 2011
小枝繁昭(1953–)は絵画を学んだのち、1980年代よりペインティングと写真を融合させた作品を制作し続けてきました。これまで国内外で継続的に発表し、東京国立近代美術館や京都国立近代美術館などに作品が収蔵されています。鎌倉画廊での個展は2008年に続き2回目となります。
今展でも中心となる「花 -眼差しのあいだ-」シリーズは、作家が2003年より展開しているもので、実際の生花を前にして“花を感じながら”その前に置いたガラス板を通して花とコラボレーションをするようにペインティングをしていくという手法で制作されています。そして、このペインティングと花の実写の関係性を崩すことなく、複雑なライティング・撮影技術を用いて最終的な作品(ラムダプリント)へと仕上げられていきます。
「ファインダーを覗くと、そこに花があります。とっても大きい花です。花は、いつの間にか私に“花を見ている”ことを忘れさせます。その瞬間がいいのです。“花に見つめられているような”とても不思議な感覚。包み込まれるような幸福感をたくさんの人に感じていただきたい。」と作家は言います。
不思議な奥行きと空間が感じられる画面―そこには「花と私たちの出会いの瞬間をいかに捉えることができるか」という作家が当初より挑み続けている主題が存在しています。森の中にいるときの“包み込まれるような感覚”を自らが花と向き合う際の体感と重ね合わせ、「森に木があるように」と題した今展では、同シリーズの新作を中心に120cm角サイズから小品まで計約15点のラムダプリントを出展するほか、アクリル絵具と岩絵具で描かれたペインティングや小さなオブジェも展示致します。小枝の生み出す独特の花の姿は、向かい合って観る私たちに、互いの存在を確かめあうかのように優しく鮮やかに迫ってきます。
「視覚だけではなく身体感覚すべてで感じてほしい」という作家の言葉のとおり、ぜひ作品に身を委ねてご高覧下さいませ。
“ひんやりとした風の音” “柔らかなものを踏みしめる感触” “光と影のゆらぎ” “たくさんの小さな香” そして “包み込まれるような優しさと存在感” 森の中はそんな感じです。
私が出会うファインダーの中の花たちは、とっても大きいのです。だからいつも“包み込まれるような感覚”になります。それをとらえるために、そっと身を委ねてみる。すると、なぜだかとても幸せなきもちになります。
“森に木があるように” そんな空間に出会っていただけることを願いながら、、、、。
小枝繁昭
5 postcards in the paper case with artist's biography(Japanese), price: 700 yen(tax included.)
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