展覧会概要

この度、鎌倉画廊では韓国の女性作家 尹 錫男の個展を開催する運びとなりました。
尹 錫男は1939年中国に生まれ、妻としてまた母としての経験を経て40歳を過ぎてから作家活動を始め、
何より女性としてのリアルな観点から作品を制作してきました。
そして80年代、民主化運動の熱気につつまれた韓国でフェミニズム活動に深く関わるようになった彼女は
社会的に抑圧されてきた女性達の"復元"や女性の独立などをテーマとした作品を発表し続けてきました。
尹 錫男は大小さまざまな木や、それを組合せ色々なしぐさを表現したほぼ等身大の木にアクリル絵具で
彩色した女性像を数多く作り出してきました。

日本における初個展となった96年、続く98年の展覧会では自分の母親や母親と同世代の女性達が主な
モチーフとなっており、「銀座ギャラリーネット'98/ハイブリット・アジア」に際して開催された98年展では、
高さ30cm程の小さな細長い、韓国の民族衣装を纏った女性像を999本並べ、1000にいきつかないその数
から女性の完全な社会的自立が実現されていない現状を表わしました。

今回の展覧会では母親の世代から現代に至る?もちろん作家自らの歴史も大いに含んだ?女性達が
主なモチーフとなっています。
中には作家自身の夢に現れたエピソードから生まれた作品もありますが、中心となるテーマは
"daily life and deviation"(deviation = 逸脱)。
2mを超える大きな作品から小品まで木を素材とする立体作品9?10点とドローイング11点で展開します。
近年リアリスティックな作品からファンタスティックな要素の強い作品に移行してきたと作家が語るように、
彼女によって組合わされ独特のポーズをとる作品達はとてもユニークな表情を持ち、描かれた女性達は
柔らかく澄んだ色彩にあふれています。

急速に移り変わる時代の中で、常に女性としての新鮮な視点と魅力的な表現力を持ち続けてきた彼女は、
韓国内の美術館はもちろんのこと、ヴェニス('95)台湾('98)シドニー('00)光州('00)の各ビエンナーレを始め
東京国立近代美術館(96年)、バーゼルアートフェア(96年・スイス)など着実に発表の場を世界へと広げています。
現代美術の躍進が著しい韓国から、無限の想像力を感じさせる尹 錫男の新作展に是非ご期待下さい。

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