吉川
民仁 「背景としてあるもの」 2012.1.28(土)-3.18(日)
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この度、鎌倉画廊では吉川民仁(1965-)の新作個展を開催致します。一貫して抽象絵画表現の 可能性を模索し続け、とりわけ風や光、雲、水など自然をモチーフにした作品はその鮮やかな色 面構成と旋律を思わせる踊るような筆触で吉川作品の象徴的なものとして継続的に描かれてき ました。今展では「背景としてあるもの」というタイトルのもと、新たな境地の開拓を見せています。 “背景”は作家にとって「描かれるもののすぐ外側に常に存在している」ものですが、ここでは過去 や歴史など既成の明確なものとしてではなく、「日常の繰り返しの中から何かが現れたり、気に なったり、『こと』が起きる」という、より感覚的なものとして、“背景”を「側」あるいは「日常」という 意味合いで捉えたい---という視点に立っています。主たるモチーフの設定ではなく、「絶えず自分 の傍らにある日常」、また、それが繰り返されることでつくられる「時間の重なり」が生み出す深さや 奥行きを包含する“背景”そのものを見つめ、描き出す試みです。近年発表した「net」という網目状 の形象がみられる作品は「過去の記憶」が表現の源にありますが、その延長線上にある今回の 新作には、“背景”を「『主役の後ろにあるもの』ではなく『主役と背景を一体にしたような作品』と して描き出したい」という作家の意図が反映されています。「側」(100号)と題された油彩をはじめ、 小品まで約20点を出展いたします。ペインティングナイフや絵筆で重層的に重ねられた色、スクラ ッチで描かれた線は、これまでの弾けるような筆触から、表層の向こう側を感じさせるかのような 深みのある色面と心地よい躍動感をもつ繊細な線描へと、新たな展開への移行を感じさせます。 ぜひご高覧下さい。 *吉川民仁は、現在DIC川村記念美術館で開催中の展覧会「抽象と形態:何処までも顕れないもの」 に出展しております。合わせてご高覧下さい。(会期4月15日まで)
*****2F展示室にて常設展同時開催***** 若手作家も含む国内・海外作家の作品を展示いたします。
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